救急車を呼ぶとお金がかかる?費用が発生するケースと有料化を防ぐ対策を解説

介護知識

救急車は、無料で利用できる救急搬送用の車両ですが、使い方によってはお金がかかる場合もあります。また、救急車の出動にかかる費用は税金で賄われているため、急車の有料化については度々議論が交わされています。
この記事では、救急車の利用でお金がかかるのはどんなときか、費用が発生する事例や有料化の可能性について解説します。

救急車の利用はお金がかかる?

救急車とは、緊急性のある傷病者を病院などの医療施設まで迅速かつ安全に搬送する車両のことです。

救急車は、無料で利用できる行政サービスとして運営されているため、基本的にお金がかかることはありません。

しかし、救急車の利用にはお金がかからなくても、救急車を出動させるには費用がかかります。

救急車の設備や備品、燃料、救急隊員の人件費など、救急車の出動には1回あたり4〜13万円の経費がかかると言われていて、その費用はすべて税金で賄われています。

そのため、無料だからといって緊急性の低い症状で救急車を利用したり、病院への送迎目的で救急車を呼ぶ人が増えてしまうと、税金だけでは救急車の出動費を賄えなくなり、将来的には救急車を有料化せざるを得ない状況に陥ると言われています。

救急車の利用で費用が発生するケース

救急車の利用は基本的に無料ですが、場合によっては料金を請求される可能性があります。

ここでは、救急車の利用でお金がかかるのはどんなときか、費用が発生する事例をいくつか紹介します。

ドクターカーでの治療費

ドクターカーとは、心電図モニタや超音波検査装置、人工呼吸器といった医療機械を搭載しており、医師と看護師が同乗して出動する救急車の一種です。

通常の救急車と違い、医師と看護師が同乗しているため、現地ですぐに医療措置を行うことができます。

ドクターカーも、救急車と同じく搬送料は無料です。

ただし、車内で医師による治療を受けた場合には、病院での治療と同じく治療費がかかります。

軽症・緊急性がない場合は特定診療費

救急車は、原則として緊急を要する場合にのみ利用する車両なので、搬送先は救急病院として指定されている大病院が多いです。

そのような病院に軽症の患者が搬送された場合は、医療費とは別に「特定療養費」が請求されます。

特定療養費の金額は病院によって異なりますが、初診では5,000円以上、再診では2,500円以上が請求されるので、注意が必要です。

夜間診療の場合は時間外診療費

夜間や休日に救急車を呼び、診療時間外の病院で治療を受けた場合には、時間外診療費が請求されます。

例えば、初診の場合、深夜(22〜6時)の間に受診すると4,800円の深夜加算、日曜日や祝日に受診すると、2,500円の休日加算が、治療費にプラスされます。

帰りの交通費は自己負担

当然のことですが、救急車が使えるのは病院への片道だけです。

病院から自宅までの帰りの交通費は、全額自己負担となります。

これは、利用者も同乗者も同じです。

電車やバスなどの公共交通機関が使える時間帯なら良いですが、夜間の場合はタクシーを手配して帰る必要があります。

さらに、夜間はタクシーも割り増料金がプラスされるため、余計にお金がかかってしまいます。

日本の救急車も有料化される?

前述の通り、日本の救急車は無料で利用できる行政サービスで、救急車の出動にかかるすべての費用を税金で賄っています。

しかし、救急車の出動件数は年々増加傾向が続いており、高齢化社会が進むにつれて、今後も増加していくことが予想されています。

実際、平成8年には年間373万回だった救急出動件数は、平成28年には621万回にまで増加しています。

さらに、救急の現場で問題となっているのが、不適切な利用の割合です。

例えば、令和2年度においては、全体の救急出動件数の約8.3%にあたる49万回程度が、緊急ではない転院搬送による利用でした。

このまま出動回数の増加傾向が続き、救急車の不適切な利用が増えてしまえば、日本でも救急車の有料化を余儀なくされる可能性は否めないでしょう。

そのため、国では救急車の適正利用を推進しています。

現在救急車を利用して行われることが多い緊急でない転院搬送については、医療機関が所有するいわゆる病院救急車や、消防機関が認定する患者等搬送事業者等(民間救急)を活用することを求めています。

今後、社会の高齢化がますます進んだとしても、民間救急事業者が増え、利用が促進されれば救急車の有料化は防げるかもしれません。

もちろん、私たち一人ひとりが救急車の適正利用を心がけることも大切です。

軽症のとき、緊急性がないときは自家用車やタクシーなどでの移動を心がけ、本当に必要なときだけ救急車を利用するようにしましょう。

民間救急車を呼ぶとどれくらいのお金がかかる?

救急車の適正利用の観点から注目を集める民間救急車は、有料で利用できる民間のサービスです。

民間救急車の料金は、以下の3つで構成されています。

  • 車両運賃
  • 介助料金
  • その他料金(車椅子・ストレッチャーのレンタル費用など)

車両運賃には、時間料金制と距離料金制があり、事業者によって料金システムが異なります。また、民間救急車の料金は、地域によっても違いがあります。

例えば、東京23区内では、以下のような料金システムが国土交通省関東運輸局によって定められています。

時間 走行距離 運賃(税抜)
初乗り30分まで 7.5km 3,700円
1時間 15.0km 6,800円
1時間半 22.5km 9,900円
2時間 30.0km 13,000円
3時間 45.0km 19,200円

また、民間救急車の介助料については時間制となっているケースが多く、30分あたり1,500円〜2,000円程度が相場です。

その他費用については、ストレッチャーをレンタルする場合には1回4000円程度、リクライニング車椅子をレンタルする場合は1回2,000円程度の費用がかかります。

車椅子については、レンタル費用無料としている業者が多いです。

また、民間救急車は24時間営業の事業者が多いですが、深夜の走行を依頼する場合は深夜割増料金がかかります。

有料の高速道路や有料の駐車場を利用した場合には、実費での精算が必要です。

民間救急車を利用する場合、事業者や地域ごとに料金が違うため、複数の事業者に見積もりをとり、比較検討することをおすすめします。

日本の救急車はお金がかからない!有料化を防ぐためにも民間救急を活用しよう

日本の救急車は無料で利用できるため、お金はかかりません。

しかし、高齢化が進む日本では救急出動件数も年々増加しており、不適切な利用も増えているため、このままだと将来、日本でも救急車の利用が有料化されてしまう可能性も考えられるでしょう。

救急車の有料化を防ぐために最も大切なことは、救急車の適正利用を心がけることです。

緊急性の低い転院搬送については、民間救急車を利用しましょう。

エマジェンでは、転院搬送や通院など多彩な用途に対応した民間救急事業者の一括見積もりや予約ができる無料サービスを提供しています。

民間救急の利用が必要な際は、ぜひエマジェンから手配をしてみてはいかがでしょうか。