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民間救急車とは
民間救急車とは、国土交通省や消防局の許可を受けた民間の事業者が、搬送用自動車を利用して患者を搬送するサービスのことです。
ベッドなどの設備を有した車両で搬送するため、「緊急性は低いけど、病気で通常のタクシーを利用するのは辛い」という人も安心して利用できます。
民間救急の主な目的は、消防救急の負担を減らすことです。
2019年の調査によると、消防救急車の利用者のうち、約48%は軽症であったことが分かっています。また、救急車の到着時間が10年間で1分近く延びているのも、軽症者が救急搬送の業務を圧迫していることが要因の一つだと考えられています。
民間救急が軽症者の搬送を担うようになれば、消防救急が緊急性の高い重症者の搬送を優先できるようになると期待されています。
消防救急車との違い
民間救急車と消防救急車には明確な違いがあります。
消防救急車とは、多くの応急処置用資機材を積載し、救命を主な目的とした車両です。傷病者や急病人など、緊急性の高い患者の搬送に利用されます。
一方で、民間救急車は緊急性の低い患者の搬送を目的とした車両です。
救急走行は認められていないため、赤色灯やサイレンは装備されていません。
また、応急処置以外の医療行為は原則として行えないため、もしも搬送中に患者の容態が急変し、緊急事態に陥った場合は消防救急車を要請することになります。
ほかにも、民間救急車は有料のサービスであり、事前予約が必要な点も消防救急車との違いです。
民間救急車の料金システム
民間救急車は、利用者が都度料金を負担する必要があります。
続いては、民間救急車の料金システムについて、その内訳と目安を説明します。
車両運賃
車両運賃については、時間料金制と距離料金制があり、事業者によって料金システムが異なります。
例えば、東京23区内では、国土交通省関東運輸局が定める基準により、以下のような料金システムになっています。
時間 | 走行距離 | 運賃(税抜) |
初乗り30分まで | 7.5km | 3,700円 |
1時間 | 15.0km | 6,800円 |
1時間半 | 22.5km | 9,900円 |
2時間 | 30.0km | 13,000円 |
3時間 | 45.0km | 19,200円 |
介助料金
民間救急車には、有資格の介護士や看護師、救急救命士などが同乗し、乗車中の介助を行うため、運賃とは別に介助料を支払います。
介助料金は時間制となっているケースが多く、30分あたり1,500円〜2,000円程度が目安です。
その他料金
車椅子やストレッチャーなどの機材を利用する場合は、レンタル料がかかります。
例えば、ストレッチャーは1回4000円程度、リクライニング車椅子は1回2,000円程度が目安です。通常の車椅子であれば、無料で利用できるケースが多いです。
また、民間救急車は24時間対応の事業者が多いですが、深夜の場合は割増料金が加算されます。
有料道路を通る場合や有料駐車場を利用した場合は、実費での精算も必要です。
民間救急車は、以下のようなケースで実際に利用されています。
- 新型コロナウイルス陽性患者の搬送
- 通院・転院・退院時の送迎
- 救急車で運ばれ、治療を終えて自宅へ帰宅するときの送迎
- 点滴などの処置を受けながら移動したい時
- 自分で運転するのは難しいが、救急車を呼ぶほどの緊急性はない時
- 精神疾患の家族の通院・入院
最近では、新型コロナウイルス陽性患者の搬送に用いられるケースが増えています。
また、自家用車に乗るのが難しい精神疾患の患者さんも、介助者と社内設備が整った民間救急車での移動が安心です。
民間救急車を開業するまでの流れ
近年注目を集めている民間救急車の事業に興味を抱いている方もいるかもしれません。
そこで続いては、民間救急車を開業するまでの流れについて紹介します。
①講習を受ける
民間救急の事業を行うためには、介護タクシーの営業許可を取得していることが必須です。そして「患者等搬送乗務員基礎講習」を受ける必要があります。
患者等搬送乗務員基礎講習は、市区町村の消防局などで行われており、2日〜3日間の講習を受講すると「適任証」の交付を受けることができます。
適任証は、患者等搬送事業者の申請書類と合わせて提出が必要になるので、大切に保管しましょう。
また、適任証には期限があり、2年ごとに再講習、5年後には更新手続きが必要になります。
②免許の申請をする
適任証と必要書類を用意し、営業所の所在地を管轄する消防局などに提出して、一般乗用旅客自動車運送事業(患者等搬送事業限定)を行うための申請を行いましょう。
③審査・認定
申請書を提出したら、乗務員や車両、積載資機材などが基準を満たしているかどうか審査が行われます。
具体的な要件には、以下のようなものがあります。
ただし、実際の要件は自治体によって異なることもあるので、注意が必要です。
乗務員
満18歳以上で、患者等搬送乗務員適任証を交付されている
車両
- ストレッチャー、車椅子を1台以上収容でき、乗務員が業務を行うための必要な広さを有している
- ストレッチャーや車椅子を確実に固定できる
- サイレンや赤色灯の装備がない
- 換気装置がある
- 冷暖房装置がある
など
審査の結果、患者等搬送事業者として正式に認められた場合には、認定証と車両貼付用の認定シールが交付されます。
民間救急車を開業するために必要な資格は?
民間救急は、患者の搬送を担うサービスであるため、乗務員には一定の資格が求められます。例えば、運転手は第二種自動車運転免許を取得している者でなければなりません。
第二種自動車運転免許とは、タクシーやハイヤーなど、「人を乗せて運び、運賃をもらう」車を運転するために必要な免許です。
また、民間救急の乗務員は、患者の乗降介助等を行う必要があるため、以下のいずれかの資格を保有しているものが望ましいとされています。
- 看護師
- 救急救命士
- 介護士
実際に民間救急の乗務員の求人を見てみると、有資格者を求めるものばかりです。
民間救急を開業するにあたっては、自身が上記の資格を取得するか、あるいは有資格者を採用することを検討する必要があるでしょう。
民間救急車の利用・開業はエマジェンにご相談ください
「救急車を呼ぶほどではないけど、自力で病院に行くのは難しい」という場合にとても便利なのが民間救急車のサービスです。
エマジェンでは、民間救急車の一括見積もりサービスを利用者様に無料で提供しています。
複数の事業者を比較して予約することができるので、初めて利用する方も安心です。
また、エマジェンでは、民間救急車の開業支援サービスも行っています。
専門家に相談しながら開業準備ができるので、複雑な手続きが多い患者等搬送事業者としての申請もスムーズに進めることができるでしょう。開業後は仕事の紹介も可能です。
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